引退が近づいてきた。
日も出てないような時間に起きて、グラウンドに着いたら、球技とは名ばかりの格闘スポーツで体をボロボロにし、終わった後はひでひろとか犬飼とかと飯行って壁当て。夜は動画研究して翌日に備える。
こんな当たり前の毎日もあとちょっとで終わってしまう。
いや、そもそもこれって当たり前なんかじゃないんだな。最近すごい思う。
「当たり前のことは当たり前じゃない」
ありきたりな言葉。特にコロナ禍ではよく聞くようになったし、実際そうだと思う。
選手兼主務として過ごした四年生は本当にきつかった。コロナ禍に於いて、「部活が出来る」という当たり前のことが当たり前じゃなくなってしまった。コロナはどんどん身近なものになり、年がら年中緊急事態宣言。部内での感染者も出てしまい、「部活ができないこと」が当たり前になってしまった。
しんどかった。どんなに対応しても新たな事態に追われる毎日。明らかに部活をやるべきではないと主務として頭では思っても、プレイヤーとしての心はついていかない。練習したい気持ちと逆行することを考えてしまっている自分が正しいのか、何度も自問自答した。チーム内で感染者が出た時、コーチ幹部でのミーティングで、部活は事実としてやるべきではないと伝えた時は狂うかと思った。主務としての「当たり前」が、選手としての「当たり前」を奪っていくことが本当に辛かった。
それと共に今まで普通に部活が出来ていたこと、何も考えずにラクロスに打ち込めていたこと、そして何よりその環境をハスキーズの先輩方や支援してくださる人が作ってくれていたことに感謝の気持ちが湧いた。あ、俺って相当恵まれてたんだなと。何も気にすることなく突っ走れていたのは誰かが犠牲を払ってくれていたおかげだったんだってわかった。
「当たり前」という事実の裏には必ず誰かしらの犠牲が払われている。だからこそ「当たり前は当たり前じゃない」って言われるんだ。
そんな当たり前じゃない日常を目の前にしてやることはただ一つだよね。
今この瞬間を全力で生きる。
これしかない。
今この世界に生きていられることが当たり前なことじゃないのだとしたら
今自分を取り巻く環境が当たり前じゃないのだとしたら
今の「俺」という人間の考え方、立場が当たり前じゃないのだとしたら
俺は自分の目の前にある「当たり前」を作ってくれた全ての人に感謝して、その人たちに恥じぬように、恩を返せるように生きていたい。
いつ死んだっていい、今が人生のピークでクライマックスなんだ。今が最高に楽しい。
そんな風に思えるように今を頑張ろうって思う。
俺の当たり前は多くの人によって作られてた。お世話になった先輩方やコーチ、会長、生意気な愛すべき後輩達と清々しいほどのクズばっかなクソ同期。他にも大塚さんだったり、ビビだったり、新人委員で出会った先輩や友達だったり。何よりも4年間応援してくれた親。色んな人との出会いや出来事が重なりあって今の俺がいる。
AもBも一年もスタッフも誰一人として欠けてはいけない俺の4年間だった。
この4年間関わってくれた全ての人に
ありがとう
4年間常に俺にとって「当たり前」であり続けてくれたハスキーズに
「俺」という当たり前でない人間を作り上げてくれたハスキーズに
これからも「当たり前」に存在し続けてくれるであろうハスキーズに
最高の形で恩返しをしたい。
絶対に日本一を取る。
そして、ハスキーズが日本一であることが当たり前になるように
その一歩を俺らが踏み出そう
#32 小林弘太郎